ネタバレはどこから来て、どこまで許されるものか？

　現在巷を騒がせている「伊達直人」氏の寄付の話題だが、
ちょっと気になっていることがある。

　今回のニュースでは、おそらくテレビや新聞に報道されはじめた時点では、
いきなり「タイガーマスク」の名前が出てきているのだが、
これは果たしていいのだろうか？ ということだ。

　……と言われても、「え？ 何が悪いの？」と思うのが普通だろう。
私が気にしているのは、
「今回の報道は、作品のネタバレに対して無自覚すぎるのではないか？」
という危惧である。

　よくネット上でマンガやアニメの作品を語る際には、
マナーの一種として
「いかな有名なネタであろうとも、まだ未見の人もいるのだから、
ネタバレについては一応は配慮しよう」という話が出てくる。

　しかし今回の件は、これを報道する大手マスコミが、
ほぼ無条件であるかのように、
「伊達直人」を「タイガーマスク」として扱ってしまっているのだ。
見出しレベルなどでは、最初の頃から「伊達直人」ではなく、
「タイガーマスク」が出てくるぐらいである。

　といっても、「ではこのネタバレ、重大か？」と言われると、
おそらくそうでもないのが実情。
確かにこの秘密は、原作中でもほとんど秘密ではないぐらいの軽い設定だし、
知ったからといって、作品の魅力は損なわれない。

　……のだけれども、私が編集職の端くれであることもあってか、
どうしてもこうした報道体制が無自覚の上に行われたものでないのか、
気になってしまうのだ。
　実際には無自覚ではないとは思うのだけれど、もしそうだったら、
ちょっと考え込んでしまう話ではある。

　例えば（これは確率的には少ないだろうが）
本当に「伊達直人」という人が（タイガーマスクとは無関係に）
寄付をした可能性も、ごくごくわずかではあるが否定できないわけだし。

　また、これは9割冗談でふと思ったのだが、
伊達直人氏の寄付の方法に沿って、
プレゼントに加えて「速水真澄」名義の手紙と紫の薔薇を置いていた場合、
どう報道されるのか……と考えると面白いような気もする。
　おそらくこの場合は、連載中の作品ということもあってか、
ネタバレを避ける会社とあえてネタバレをする会社の両方が出るのではないか。

　……その点でも、ほぼ全社横並びで「タイガーマスク」と
言ってしまっている今回の報道には、ちょっと違和感があるのだが。

　まあ、なるべくではあるが、細かいところにも気を使いたいよね、
と、自戒を込めて。

　……あと、別の問題ではあるが、
新しめのアニメやゲームでネタバレを気にている方々が
この問題に関してはあまり気に留めていなさそうな点も、少し気になっている。

【以下余談】
　ちなみに、パチンコのタイガーマスクのCMが集中投下されたり、
「あしたのジョー」が実写映画化されるこのタイミングで
タイガーマスクとはタイミングがちょっと良すぎでは？ ……という話もある。

　……そして余談ついでに、なんで伊達直人氏が全国に出没できるのかの俺予想。
きっとヤツこそは、かの「合体伊達臣人」( http://bit.ly/hbMqxD )に
対抗するための、「分身伊達直人」に違いない!!