今の形のPCには、マルチタッチパネルよりも「マルチマウス」

 いわゆるマルチタッチパネルはPCで流行するか? ―― Windows 7が対応していることもあり、この話題はホットだ。
 実は個人的には、解決すべき条件がある、と考えている。それは、今のPCのディスプレイの位置だ。

 iPhoneのマルチタッチが自然に操作できるのは、タッチパネルの精度などはもちろんあるが、そもそも「手に持ってもう一方の手で操作する」姿勢も重要なのではないだろうか?
 というのも、デスクトップPCや一般的なノートPCの画面に直接触れようとすると、多くの場合は「腕を中空に浮かしてタッチする」という姿勢になると思われるのだが、これはどう考えても疲れる姿勢であるからだ。

 なので、個人的には(申し訳ないけど)「Windows 7でマルチタッチ画面って流行しそうですよね」と考えている方には、今使っているパソコンで「キーボードでタイピング→画面をタッチして操作→キーボード……」の動きを10回繰り返してもらいたいのだ。それでも腕がかったるくなかったら、きっと貴方はタッチパネルPCをヘビーに使える資格がある、と思う。

 もちろん、「普通はこんなにヘビーに使わないでしょ」という意見があるのは納得できるし、私もそう思う……のだが、私の経験上、こうした極端な使い方でもかったるいと思うのであれば、そもそも稼働率はかなり低くなるのではないだろうか?

 つまり私の意見としては、(入力デバイスの)タブレットタブレットPCのように、重力に逆らわないような姿勢で入力できるような工夫があれば(そしてその状態だけで十分操作ができるのであれば)、マルチタッチパネルは流行するやもしれない、ということ。
 しかし、どうも現状のWindows 7では、そこまでの(マウスさえも必要としないほどの)マルチタッチ操作はできないようだ。



 では、デスクトップPCやノートPCでは、こうしたマルチタッチの操作はどのようにして実現されるのがよいのだろうか?
 理想は、とにかく疲れず、手が自然に動かせる位置で操作できることだろう。最近のノートPCで搭載されるマルチタッチ対応タッチパッドは、実はこの点ではいい線をいっていると思う(伊達にAppleが採用していない、とも思う)。
 将来的には、Appleが特許を出願した、全面タッチパッドのキーボード(http://japanese.engadget.com/2007/08/10/apple-wide-touchpad-patent-application/)などが解決策になると思う。

 しかしそもそも、マルチタッチ操作で使用頻度が高いと思われる(=マウスでの代替がしにくい)、ピンチイン/アウトや2点ポイントの操作って、そもそも画面直接タッチにこだわる必要はあるのだろうか?

 デスクトップPCの場合であれば、例えば「左手用補助マウス」と、ピンチや回転動作用として使える「2つ目のマウスカーソル」に対応したOSがあれば、マルチタッチで利便性の高い操作のかなりのところは、PCでも可能なのではないだろうか?

 2つのマウスカーソルを扱う環境としては、西村誠一氏作のフリーソフト「デュアルマウスTool」 ( http://www.forest.impress.co.jp/article/2006/10/27/dualmousetool.html )があるが、この延長線上、というイメージになるだろうか。

 ドライバの開発や、そもそも「2つ目のマウスカーソル」という概念の定義・広報などにはもの凄い手間が必要になるだろうが、「マウス1個買い足せば、タッチパネルを使わなくても(さらに自然な姿勢で)マルチタッチ相当の操作ができます」という環境が作れたら、結構ヒットするような気がするのだが、どうだろう?

 というか個人的には、そろそろ正直「PCにマウスとキーボードは1個づつ」という発想自体が古いと思う。USBで複数接続できるようになったのだから、ディスプレイのように複数をバンバン接続して、それぞれが連携して使えるような環境が実現できてもバチはあたらないのではないだろうか?