Antecの電源ユニット新製品発表会に来てみたw (※とりあえずテキストのみ版)

 10月27日、米国Antec社が、秋葉原の同社ショールームTwitter ID: @AntecSR)で、新型電源ユニット4機種を発表した。なんと、本国から自作PCアイドルのスコットさんこと(失礼!)上級副社長のスコット・リチャーズ氏を招いての開催である。

 一般的なメーカーであれば、こうした発表会で「4機種」と言えば、新シリーズというパターンが多い(と思う)が、さすがAntecクオリティというか、なんとすべて出力1000Wオーバーの超大出力製品であった(笑)。

 今回の新製品で目玉となる新技術は、「PowerCache」(パワーキャッシュ)。これは、電源コネクタの近辺(つまりケーブル上)にコンデンサを搭載し、突発的な負荷増大に対する電流供給能力を向上させるというもの。主に最新ビデオカードに向けた機能である。
 PCI Express電源コネクタには2200μF品が、Serial ATAコネクタや4ピンペリフェラル(5インチベイ用)コネクタなど(の一部?:詳細な仕様は不明)には220μF品(と表記されている)が搭載される。
 これは、4機種中のゲーマー向けモデル2機種に搭載される。

 4機種の概要は以下の通り。

●SG-1200(Signature 1200W)
同社のハイエンドシリーズ「Signature」の1200Wモデル。+12V出力はなんと8系統とギャグみたいな仕様で、定格電流はそれぞれ30A=240A。パワーキャッシュは非搭載。変換効率は80PLUS GOLD。今回はTPQ-1200との差別化か、「サーバー用」とジャンル訳された。

●TPQ-1200(TruePower Quattoro 1200W)
TruePower Quattoroシリーズの1200Wモデル。パワーキャッシュを搭載。変換効率は80PLUS SILVER。ゲーマー向けモデルという位置づけ。

●TPQ-1200 OC(TruePower Quattoro 1200W Overclock)
TPQ-1200にファン回転数設定と+12V電圧調整用のツマミを搭載した、「オーバークロッカー向けモデル」。パワーキャッシュを搭載。電圧調整幅は11.6V〜12.4Vと、Antecらしく控えめ(笑)。

●CP-1000。Antecケース専用の、「厚みのある」フォームファクターの電源第2弾。twelve hundredやP183/P193に対応する。出力1000Wと、今回発表された中では比較的ベーシックな仕様だが、効率は80PLUS(無印)相当。

 それぞれのモデルの実売価格や発売時期は公表されていない(が、サンプルはハンドメイドと言われていたため、ある程度期間が掛かりそうな印象を受けた)。

 また、ツッコミどころとしては、内部電源ケーブルが挙げられる。Antec側としては「プラグイン式」と表現しているが、“基本となるケーブル”が直づけとなっている。問題はそのケーブルの数で、なんと一般的なPCで使われるほとんどのケーブルが直づけとなっているのだ。
 正直プラグイン式とは言い難くなっている状態で、これが正式製品までに仕様が変わるのか、そのあたりにも注目したい。


 なお、ハイエンドとなるSG-1200にパワーキャッシュが非搭載である理由だが、筆者が質疑応答で「もしや80 PLUS認証が取れなくなるからか?」と聞いたところ、スコットさんから「いや、そうではなく、これは純粋にターゲットユーザーの問題だ。パワーキャッシュは、ビデオカードを多数運用するゲーマー向けモデルに集中して搭載している。将来的に好評であれば、他のモデルにも採用する。うちの技術は好評かどうかはすぐにわかるよ。他のメーカーがこぞって似た機能を搭載するからね(笑)。」との回答をいただけた。

 いずれにせよ、最近は効率重視一辺倒の電源ユニット市場で、久々に面白そうな機能を搭載した製品が出てきたという印象だ。いろいろといじりがいがありそうである。