すべてのバズワードは『屁のつっぱりはいらんですよ』に学べ

 私が(人知れず)提唱している理論の一つに、
バズワードって、要は『屁のつっぱりはいらんですよ』じゃね?」というものがある。

 「屁のつっぱり〜」とは、大ヒットマンガ「キン肉マン」で出てくる、主人公の決めゼリフ(?)の一つだ。そしてアニメのエンディング曲では、この言葉を受けて「言葉に意味はよくわからんが、とにかくすごい自信だ」という歌詞がある( http://bit.ly/xJJnR )。
 で、この「言葉の意味はよくわからんが」というのがバスワード成立にとって重要ではないか、と発想が「バズワード=屁のつっぱり〜」理論なのだ。

 なぜか? バスワードって「急速に流行した用語」を指すのだが、言葉が急速に流行するためには、「誰もがなんとなく“だけ”意味がわかる言葉であること」が重要なのではないか? と考えるからだ。
 これは、バズワードを広める人(いわゆるインフルエンサー)の動機付けとして、「知ったかできる」という点がすごく重要だと思うためだ。言い換えると、「お前まだ知らないのかよ!!」っていう優越感と、人に情報を教えてあげる親切心への刺激を兼ね備える言葉が、バズワードとして成功するのではないだろうか?

 なので、誰もが意味がわかる言葉では、おそらくバズワードとしての広まり方(感染力?)が足りないのではないだろうか、と思われる。また、知っていることを自慢できない(当たり前の)用語では、人にわざわざ言おうとする動機付けが足りなくなるのではないか? とも考えられる。
 では、対極となる完全造語・新語ではどうだろうか? 残念ではあるが、そんな言葉もあまり広まらないだろう。聞いた人が言葉を覚えられない(または印象に残らない)ため、そこで停止して、広がっていかない可能性があるのだ。

 これらが、(成功する)バズワードの条件として、「言葉の意味がなんとなく“だけ”わかる」、という状態が重要と考える理由だ。バズワードの最高傑作と呼ばれるものが「Web 2.0」であることからも、それは伺い知れるのではないだろうか。

 で、そうした「意味はよくわからないが、なんか凄い!!」という条件を(まさにそのまま)提示しているのが、先述したキン肉マンのエンディングテーマ内の「屁のつっぱり〜」なのである。

 つまりバスワードの極意は、既にキン肉マンが29年前に開拓していた、ということなのだ。……と書くと、あまりにウソっぽいのだが。